経理最適化
プロジェクト概要
20名規模のSaaS事業を営むスタートアップでの経理最適化プロジェクト。当初経理担当者が1名在籍していたものの、退職に伴いハンズオン支援の依頼がありました。在籍していた経理担当者の業務エラーが多少あったことや属人的な業務があったことから、ハンズオン支援だけではなく経理業務最適化が適切と判断し、経理適切化に着手しました。
クライアントが抱えていた課題
- 振込先の口座情報を直接システムに打ち込むため、打ち込みミスのリスクがある
- 取引先などの情報が自由入力のため、表記揺れする
- 請求書のファイル名を手動で変更するため、表記ゆれが原因で後から探せない場合がある
- 前払いや源泉徴収などを含む仕訳の計上を手動でfreeeを操作する必要がある
- どの請求書に対して処理を行なったか、確認しにくく担当者に依拠
プロジェクトの流れ
①現状業務の棚卸
- 退職予定者からのヒアリング
- 業務内容のドキュメント化、業務フロー整理
- 現状把握のための利用システムの閲覧
②業務のトレース
- 業務フロー再現による差異の確認
- 業務負荷の確認
③業務の再設計
- 情報の正規化
- メールの自動取得ルール作成
- スプレッドシートで操作する会計情報と利用システム情報の同期
- 証憑の保存場所の定義
- 各種システム間の連携方法定義
④新業務の実装
- 自動処理などを取り入れた仕組みの導入
- 導入後の調整
課題に対する解決策
- freeeのマスタ情報をスプレッドシートと同期。その情報をもとに支払管理を行うスプレッドシートを作成。表記揺れを防止。
- 上記入力項目によりファイル名を自動生成。入力コストの削減と表記揺れを防止。またfreeeへの証憑添付も対応。
- 前払や源泉徴収などの取引に対してもAPIで対応。
- 請求書を受け取るメールグループに対して、請求書のdriveへのアップロード管理のためのタグを作成し、アップロードを自動化。driveへのアップロード漏れを防止するとともに、事後確認を可能にした。
本プロジェクトの成果
業務時間への影響
・月次経理が8時間程度/月で完了
業務品質への影響
・業務定着後は作業漏れがなくなった
その他
属人性が排除されたため、引継ぎや引き渡しがスムーズになるようになった
業務フローがクリアになったため、担当者以外が業務フローを理解できるようになった
担当コンサルタントのコメント
規模拡大を見越した対応
今回のプロジェクトにおいて意識したことは大きく分けて2つあります。まず、企業の今後の成長を踏まえて、規模が拡大しても業務負荷が増加しにくい設計にすること。2つ目は、経理体制の変更が必要になった際も対応が行いやすい設計にすることです。IPOを意識すると企業もアクセルを踏み、規模が拡大していきます。規模の拡大と同時に業務負荷も増加し、従業員への負担だけでなく、業務自体の複雑性も増してしまいます。また、規模拡大に伴い、経理体制の変更が必要になることは十分にありえます。そのため、規模拡大を見越した設計に重きを置きました。
経理業務の最適化のメリット
経理業務から作成される情報は、経営上の意思決定に役立つものが多いです。経理から得られる情報はブランドや商品ごとの利益やコストの可視化をサポートします。一方で経理業務が複雑な場合、経営判断に置いて必要な情報の提供が遅くなるだけでなく、限定的な情報しか渡せないケースも出てきます。また、情報の正確性に対する懸念も生まれ、経営上の意思決定のスピードや正確性に悪影響を及ぼします。
より良い意思決定のために、最適化した経理業務で正確な情報提供を出来ればと思っています。
いつ経理業務最適化を検討するタイミング
業務が複雑化してから最適化を行うケースは、予め最適化しているケースに比して、コストが高くなりがちです。規模拡大を検討する段階で、先んじて最適化を検討するのが良いと考えております。
事業拡大の意志を持ちアクセルを踏むと、ほとんどのケースで業務も増え、同時に複雑化する傾向があります。業務が複雑化していると見たい情報があるにも関わらずその情報が見れないと言った実害が発生するケースも。そのため、事業拡大を検討した段階で経理業務最適化の相談をすることをおすすめします。